ここはヘッドルームの隊員が、最近気になるなにやらなにやらを書きつづる場所です。
何が飛び出すかは多分、神様にだってわかりません
ライター :  全て 竹石 上野 後藤 有田      ページ :  1 2

人生は名優に学んだ  vol.2  [2009-05-01 Fri](Writer:上野)


 学生時代、久々に制作された『座頭市』を見たのをきっかけに、『座頭市』シリーズにはまったことがあります。第一作の白黒の作品から(『座頭市物語』ってんだっけ?)レンタル屋で借りてきて見まくりました。シリーズ全部ではないですが、かなり見たと思います。
 子供の頃、父が『男はつらいよ』と『座頭市』が好きで無理矢理見せられた記憶はあったんですが、さすがに白黒の第一作なんかはまったく記憶にありませんでした。で、学生時代に改めて見直した時、まず思ったことが「昔の時代劇スゴイ!」
 殺陣が今ほど派手ではないんですけど、ものすごい様式美といいますか。昔の殺陣って音がしません。刀がぶつかり合う小さい音はするんですが、肉を斬る音がしないんですね。今は刃を交えるとガチッっていう音以外に火花が散ったり、肉を斬るとドギュッなんていう音がするじゃないですか。でも、市が電光石火の居合いで敵を斬る。ヒュッっていう風きり音もしません。衣擦れの音がするだけ。でもって敵が倒れる。それだけ。なのにすごい緊迫感というか臨場感というか、あれはもちろん殺陣の上手さもあるんでしょうが、演出とか編集とかの腕もあるんでしょうね。
 お兄さんの若山富三郎が、劇中でも兄役として登場したのは第二作でしたかな? 兄弟同士で斬り合う最後の殺陣は迫力満点でした。
 そんなこんなで、今回、私が人生を学んだのは勝新太郎であります。

 勝新さんは、あれでもデビュー当時は2枚目路線だったそうです。それがなかなか売れず、『座頭市』シリーズで化けたって言われてます。
 自分でプロダクションを作ったりして、倒産しちゃいましたけど、なんというか、いかにも“映画人”っていうイメージがあって、子供のころからカッコいい人だと思っていました。まあ、勝新の任侠映画とか兵隊ヤクザ映画を見ていたのは父の影響なんですが。
 勝プロは、確か私が小学生の頃、珍しくテレビシリーズを手掛けた記憶があります。『警視K』っていう警察モノっだったような。娘さんが共演されてました。私の父が、「やっぱり勝新はいい役者だなー」って感心して毎週見てましたが、途中で打ち切られましたけど?
 その後、プロダクションの倒産とか、『乱』で黒澤明監督と喧嘩して降板したとか、パンツにヤクとかいろいろ事件(今だとシャレにならない事件ですね)を起こして芸能マスコミを賑やかにしてくれました。
 なんかこう、無茶苦茶なんですよね、言動が。でも、無茶苦茶な生き方を後悔したりはしない。かっこよく言えば信念を貫く、なんちゃって。
 遊びもすごかったらしいです。宵越しの金は持たないっていうのか、もうババーンと飲めや歌えに使っちゃう。名付けて“勝新遊び”、実は私もやってしまったことがあります。
 行き付けの飲み屋の若い衆をタクシーに分乗させてキャバクラで数十万散在して嫁に泣かれましたwww
 勝新さんとはケタが違うワケで恐縮ですが、一般人としては立派なもんじゃないかと。
 あー、キャバクラの子とやりたくて貢いだんじゃないですよ。タクシー代から飲み代まで7、8人分面倒みさせてもらっただけです。もちろん、キャバ嬢にも大盤振る舞いです。さー、好きなだけ飲んで食って騒げと。そしたらちょっとだけ触らせろと。
 カードの請求が来た時、嫁の目が三角になって、次第に涙目になったのを覚えています。はい、もう二度としません。

 そんなワケで大いに反省しとるワケですが、やっぱ勝新太郎さんのスゴミのある生き様には惚れてます。
 奥方の中村玉緒さんも、ステキですね。勝さんが亡くなったあと相当苦労されたようですが(いあ、生前から苦労なさってましたか)、テレビではいつも明るい。玉緒さんが主役の2時間ドラマ『おばはん刑事』シリーズは全部見ました。息子役の鶴見辰吾さんや元恋人役の北村総一郎さんとの掛け合いが、すっとぼけながらもホロッとさせる。ステキでした。シリーズは完結しちゃいましたがまたやってほしいですね。
 子供の頃は、『細腕繁盛記』の新珠道代さんとごっちゃになっていましたけど。“たま”つながりってことで。

【勝新太郎の教え】
 
 破天荒な生き様なんていうものは分不相応なワケでして、そんなことやるから嫁に泣かれてしょんぼりしちゃうんです。そういうところをマネするなら嫁が泣いても怒っても己の道を貫かねばなりません。それこそ火宅の人にならねばなりません。でも、私には無理なんです。ならば、勝新太郎から学んだものとはいったい何か? 過ぎたことにクヨクヨするなってことですかね。無頼に生きなくても、フツーに日常生活送ってるだけでも「やっちまったなー!」って失敗はよくあるもんです。でも、いちいちクヨクヨしてたらどうしようもないなと。まあー、あんまりケロッとしすぎても無責任男と思われてアレなんで、適度にクヨクヨしてますが。


 

人生は名優に学んだ  vol.1  [2009-03-10 Tue](Writer:上野)


 前回で、「おじさん映画」も第100回を迎えました。第10回でした。気分的に一区切りついたところで、おじさんとか括らず、正直に憧れのムービースターについて書いていこうということで、タイトル改めます。とり上げるのは大概おじさん俳優ですけど。

 80年代に多感な年頃を過ごした私ですが、そのライフスタイル(ファッションとか日常の仕草とか、まさに生き様)の指針となったのが映画でありました。
 人によっては音楽だったりするんでしょうけど、私は映画でしたね〜。
 当時はレンタルビデオもあまり普及してなかったんで、映画館に通い詰めました。
 煙草の吸い方、何気ない酒の飲み方、歩き方、眉間のしわの寄せ方(小学生の時『太陽に吠えろ!』でショーケン様が死ぬシーンをマネして、立ち小便にもこだわった筋金入りです)、あらゆるものを映画から学びました。映画で俳優さんが演じた役に憧れたわけですが、なんというか、その俳優がとにかくカッコイイというんではなく、まずはその役柄に惚れたんでしょうね。だからすぐマネしてみたくなる。でもって友達に笑われるわけで。
 さて、そうやって気になった俳優さんの映画はどうしても期待して次のを観る。そのうち、俳優さんそのものに興味が出てきて、いろいろ過去タイトルとかチェックが始まる。すると、役柄以上にドラマチカルな人生があったりして、さらにその俳優さんのファンになっちゃうというわけです。
 そんな勢いでファンになった俳優さん。今回はハーヴェイ・カイテルの巻です。

 ハーヴェイ・カイテル。『タクシー・ドライバー』のポン引き役が鮮烈でした。美少女ジョディ・フォスターに売春させるポン引き“スポーツ”。白いタンクトップに黒いスラックス。長髪にソフト帽って姿が強インパクト。このろくでなし野郎は、ロバート・デ・ニーロにぶっ殺されんですが、実はこれ以前、イタリア系チンピラの日常を描いた『ミーン・ストリート』って映画でハーヴェイ・カイテルとデ・ニーロは共演してたんですね。で、主役はカイテルさんで脇役がデ・ニーロ。監督は両作ともコッポラ マーチン・スコセッシでした。でも、コッポラ神 スコセッシはデ・ニーロの方を買っていて、『タクシー・ドライバー』では主役に抜擢。その後、大御所コッポラ『地獄の黙示録』では当初ハーヴェイ・カイテルが主役の予定だったのが、突如降板してマーティン・シーンにお鉢が回ってきたとか。
 コッポラ神になんかイヤなこと言われたんでしょうか。コッポラとデ・ニーロ、カイテルの関係をわかりやすく言うと、力道山と馬場、猪木って感じですかね〜。
 そういえば、『ゴッド・ファーザーPART2』では、マーロン・ブランドの若き日の役をデ・ニーロが演じていました。コッポラファミリーの強い絆を感じます。
 というわけでコッポラファミリーに入れなかったハーヴェイ・カイテルは、なんと、ハリウッド全体から使いにくい役者というレッテルを貼られてしまったというではありませんかっ!

 不運です。

 どうりで、長い間ビッグ・ネームになれなかったわけです。
 実を言うと、私がハーヴェイ・カイテルを意識したのは学生時代でして、当時、軽くお付き合いさせていただいた娘さんがハーヴェイ・カイテルが好きってことで(なんというマニア!)一緒に名画座で見た映画がきっかけでした。そのタイトルをどーしても思い出せません。80年代後半だと思いますが。ストーリーの片鱗すら思い出せないのです。隣に甘い香りの娘さんが座ってると思うと、映画館を出てからのことに気が回っちゃって。かなり若かったです、私。
 その直後ですね、『テルマ&ルイーズ』っていう女2人組みのアウトロー映画(本当はアウトローじゃないですけど)で、2人に同情しつつ追い詰める渋い刑事(だったかな?)を演じてるのを見て、「うは〜、このおっさんカコイイっ」って思ったのは。
 でもって、再び大いに脚光を浴びるきっかけになったのは、なんといっても『レザボア・ドッグス』ではないでしょうか。タランティーノの裏切りと血潮の残酷ギャング映画です。これ、なにしろ音楽が超カッコイイんでサントラなんかオススメっす。映画自体は後味悪いですね。
 ハーヴェイ・カイテルは主役のミスター・ブルー役。黒ずくめのスーツ姿がバッチリです。
 その後、『パルプ・フィクション』の死体掃除人とか、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の化けもん軍団と戦う父親神父とかタランティーノ映画でバリバリやってくれました。

 私がお気に入りなのは『スモーク』っていう作品です。
 寂れた街角の煙草屋のオヤジ役。彼は、毎日同じ時間、同じ場所からその街角をカメラで撮影するのが日課で、普段は気づかない風景の変化を記録しています。街を定点観測してるんですね。そんな彼と、親友の売れない小説家や家出少年との関わり合いを淡々と描く、静かな映画です。
 いつも代わり映えしなような日常にもほんの少しだけ変化があって、そんな変化が積み重なって人は生きていくんだと……なんか眠い話で恐縮ですが、興味のある方は小説もオススメです。ノベライズではなく原作小説です。

『スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス』(新潮文庫)

【Harvey Keitelの教え】
 
 さて、若かりし頃の私は、筋トレが日課でした。なにせ、当時はスタローンやシュワの時代でした。大好きなミッキー・ロークもガチだったし。でも、ハーヴェイ・カイテルが、男ってのは筋肉じゃないってことを教えてくれたように思います。自然体から発散するナイスガイの体臭。多少腹が出ていても、逆に痩せていても、自然体ならちっともおかしくない、むしろセクシーさすら感じる男の在り方というものを学んだと思います。今の私、下っ腹が超自然体化しておりますが……。

 

おじさん映画<第10回> [2009-02-13 Fri](Writer:上野)
 昨夜、木曜洋画劇場で『レッドウォーター/サメ地獄』なる映画を見ました。
 主役はルー・ダイアモンド・フィリップス。

 懐かしい顔です。

 20数年前、悪ガキスターたちの集団が一世を風靡しました。集団の名前は「ブラット・パック」。
 どんな悪ガキがいたかというと、エミリオ・エステベス、弟のチャーリー・シーン、クリスチャン・スレイター、今やジャック・バウアーなキーファー・サザーランドといった面々。彼らは『ヤングガン』っていう西部劇で競演したりして女子大生やOLをキャーキャーブイブイ言わせてました。
 他にもパトリック・スウェイジ(『ゴースト/ニューヨークの幻』)とか、ロブ・ロウなんかもブラット・パック系と言えるでしょうし、さらに数年遡って『アウトサイダー』なんかに出てたラルフ・マッチオとかも同世代で仲間なんでしょうね。あー! マット・ディロンっていう重鎮もおりましたわ。

 でもって、ルー・ダイアモンド・フィリップスもブラット・パックの1人でした。
 なんといっても、スペインだのチェロキーインディアンだの、色々な血が混じっているという少々エキセントリックなマスクが、当時の女の子たちを夢中にさせておりました。

 話が戻りますが、そんな彼が『サメ地獄』の主人公だったわけです。しかも2003年作品。ルー・ダイアモンド久々です。
 これは見ておかねばと思い、仕事を放り出して家に帰り息子と見たんですけど、相当笑えます。
 アメリカの片田舎の湖に人喰いザメが出るんすよ……「静かな湖畔の森の中、湖なのにサメ地獄っ!」「鮫工船、プロレタリアシャーキングパニック!」って予告編のナレーションでまず大笑い(若本規夫さんかな?)。テレ東の洋画予告編は大概笑えるんですけど、この予告編は頭1つ抜きん出ていて秀逸!
 さて、石油堀り職人の主人公(ルー・ダイアモンド・フィリップス)と、たまたまその湖に盗んだ金を隠した悪党どもと、そんでもって人喰いザメの三つ巴の戦い。悪人どもとドンパチしてドッカンと建物が爆発してその合間にサメがガブガブ人を喰うっていう、なんとも贅沢なアクションモンスターパニックムービーでしたwww。というとバカにしてるみたいですが、マジで楽しい映画なんでオススメです。マジ。

 ルー・ダイアモンド・フィリップスはもう40代も半ば過ぎてると思うんで、この映画の時は40歳になったぐらいですが、意外にも若々しい。鼻の下が長〜いのがこの人の特徴ですけど、顔全体が少々苦み走ったおかげでそれほど気にならない。
 しかも、身体トレーニングは続けていると見え、身体も引き締まってます。ブラット・パックの面子って、当時人気だったスタローンとかシュワっちといった筋肉モリモリスターに対する当て付けのように、細く締まった(あるいはナヨっとした)ボディーをウリにしていたように思います。パトリック・スウェイジだけはマッチョでしたけど。
 彼らの映画を見ていると、意味もなく上半身裸になるシーンが多くて、細い筋肉見せながら「俺ら、フツーにしててもカッコいいんだぜ」っていう心の声が聞こえたものです。おっさんの下っ腹って、実は人生の年輪なんですよ。その辺、若い時分にはわからないもんです。そんな彼らも、年を重ねてそれなりに弛みつつ、でもデブチンにはならないように努力してるみたいです。ジャック・バウアーも、あれでも昔と比べるとかなり肉厚になってますし。

 ブラット・パックの時代から20有余年、ルー・ダイアモンド・フィリップスは正直いい映画に恵まれてはいませんが、脚本や舞台の演出なども手掛けているそうです。地道にやっておるのですね。
 私の好きなミッキー・ロークなど、ちょっと見ないうちにブヨブヨのぐちゃぐちゃになっちゃったのに、『サメ地獄』のルー・ダイアモンド・フィリップスを見たら、やっぱり努力し続ける人はエライと思いました。

 さて、努力は大事ということがわかったところで、では、ごめんください。



 

【見ないで】脱力パパとモンハン【描きました】 [2008-11-29 Sat](Writer:上野)
 いつしか『MHP2G』熱も冷めてきて、社内でも常駐プレイヤーは皆無となりました。まあ、この忙しい最中にやってたら「死んでしまへーーー!!!!」て怒られますけど。
 とはいいながら、私は息子とコツコツやり続けてまして、プレイ時間800時間を超えました。でも、まだハンターランク8なんです。今、G級の★★なんですけど、このクラスになるとモンスターはムチャクチャな強さです!
 息子も「もうムリじゃね?」と最近は遊んでくれないし。
 ならば、まずは武器を強化、と思っても私なんかは大剣、太刀、ハンマー、ライトボウガン、弓(予備に片手剣と双剣。なんの予備だかわかりませんが)なんていろいろ使っちゃうんで、お金が足りません。
 ここんとこ、ずーっとネコートさんとこの大連続狩猟クエでクック、ヒプノック、ガルルガを狩り続けてます。この3バカ鳥は弱いくせに報酬が15000も入るんで美味しいのです。
 でも、ギルドカードの戦歴にはこればっかり続いてるので、恥ずかしいです。まあ、ギルドカードを交換してくれる狩り友ももういないわけですけども。
 それにしても今回のモンハンにはハマリました。一応1000時間まではプレイしてみるつもりです。『モンハン3』の発売を待ちながら、コツコツやってればハンターランク9まで行けんじゃないかなーなんて思ってみたりしてみたり。
 ということで、モンハン800時間男が、「何も見ないでモンハン書きました」
 プレイ時間の割りに、よく覚えてない。
 ガノトトスの胸ビレどうした!?
 微妙に違うんで、名前もパチモン風に変えてみました。



 こんなもんですかねー。
 では、ごめんください。

 

おじさん映画<第9回> [2008-10-20 Mon](Writer:上野)
 緒方拳が亡くなりましたね。
 10代の頃、『鬼畜』とか『復讐するは我にあり』とか見まして、とても怖い役者だなと思いました。
 2作品とも普通なら胸の奥にしまって決して表に出さない、黒々とした凶暴性、野生、いや野獣性とでも申しましょうか、そんな危なすぎる本性を曝け出し、同時に胸を掻き毟るほど苦悩する役を演じておりました。
 もっと幼い頃に見たのがテレビの『必殺仕掛け人』の梅安役、そして同シリーズ『必殺必中仕事屋家業』半兵衛役です。
 特に半兵衛の殺し技が格好よかった。相手の首を小さな剃刀でシュパッっと切った瞬間、首に手拭いを巻いて血を噴出させない。一連の流れが華麗でした。
 眉間に刻まれた皺はその頃すでにあり、格好いいけどおっかなそうなおじさんだと思いましたね。

 名優の名にふさわしくたくさんの映画、ドラマに出演した役者さんで、もう代表作といっても挙げ出したらキリがありません。なので、私が見た晩年のいくつかの作品から受けた印象を少々。

 最近見たのは『隠し剣・鬼の爪』『蝉しぐれ』『武士の一分』、昨年の大河ドラマの『風林火山』……ありゃっ 全部時代劇になってしまいました。
 どの作品でも、かなり枯れた味が出てましたけど。特に『風林火山』では超枯れ気味。上杉謙信の軍師・宇佐美定満役でしたが、山本勘助や武田信玄、そして謙信の暑苦しさに見る者が圧倒されてたせいもあるのでしょうが、とっても物静かなお爺さんに見えちゃいました。
 『風林火山』の撮影時にはすでに病に犯されていたとのこと。それを周囲には一切言わずに撮影に挑んでいたそうです。役者根性に頭が下がります。
 息子の緒方直人はデビューの頃から老成して枯れてますが、若かりし頃の父をお手本に、もっと熱い役者さんになってほしいものです。

 さて、ポール・ニューマンも亡くなりしました。
 で、峰岸徹もひっそり亡くなりました。肺ガンだったそうです。 20数年前に岡田有希子とモヤモヤあったとかなかったとか話題になりましたが、それは置いといて、この人、25年前にキッパリと煙草をやめたそうなんです。肺ガンなんてバカらしいからと。
 100歳を過ぎても畑仕事する元気なお爺ちゃんが、よくプカプカ煙草吸ってたりしますが、峰岸徹は煙草をやめて20年後に肺ガンに……。諸行無常を感じます。
 そして、今朝、何気なくテレビ東京の通販番組を見ていたら、前田吟が健康の秘訣を話してました。その秘訣とは「毎朝、青汁を飲むこと」だそうです。全国170万人のシェアを誇る青汁業界ナンバー1の商品を1時間ほど宣伝しておりました。

 私も煙草やめて青汁飲まねば! とは思いませんでしたが、煙草はやめたいですね、ぜひ。

 あ、そういえば、8月に子供と一緒に見た『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』が緒方拳の最期の映画になっちゃいました。

では、ごめんください。



 

おじさん映画<第8回> [2008-09-19 Fri](Writer:上野)
 今日は、祝辞を述べさせていただきます。ヴェネツィア国際映画祭で、ミッキー・ローク主演の『レスラー』が見事、金獅子賞(モンハン風に言うとラージャン賞)を獲得しました。北京での日本の金、銀メダル獲得より、私にとってはうれしい知らせでした。
 以前、ここでミッキー・ロークについて書かせていただきましたが、まあ、あれは半分冷やかしも入ってまして、ミッキー・ローク大好きなんですけど、まさか映画賞を獲るなんてことは思ってもみませんでした。
 それが、ポニョを押しのけて1等賞になっちゃった。これはすごいことです。
 ネットでは『レスラー』の撮影シーンの動画がアップされてますが、なんつーか、ミッキー・ロークってマジでプロレスラーですわ、体が。昔はセックスシンボルなんていわれた優男だったのに、いつしかアメリカンオヤジに大変身! 共演女優をビッチ呼ばわりする品のなさとか、粋ではありませんか!
 マジで憧れます。

 これからですよ、ミッキーの時代は!
 やってくれますぜ、きっと!

 時々警察沙汰を起こすのも、ご愛嬌です。たしか最近の事件はスクーターの酔っ払い運転でしたっけ? なんか、スクーターってのが可愛いです。
 これからも活躍を期待しております。

 ということで、祝辞に代えさせていただきます。

 ところで、マイケル・マドセンって役者、若い頃のミッキー・ロークに似てますね。ていうか、真似してますね。松田優作をリスペクトしすぎた又野誠治みたいな?(2人とも故人ですが)
 次回はマイケル・マドセンについて書こうと思います。

 では、ごめんください。



 

【SS】角部屋【怪談】 [2008-08-22 Fri](Writer:上野)

 今夜も頭痛がひどい。
 この1カ月、俺は会社に出ていない。テレビで梅雨明けのニュースが流れた日の朝、とてつもない頭痛に襲われた俺は、以来、自分のアパートに閉じ篭り、ひたすら頭の痛さに耐えていた。
 日中は動けず、日が暮れるとようやく少し楽になり、近所のコンビニで弁当を買って食べる。それの繰り返し。
 部屋の温度はどのぐらいだろうか。窓を開ける気力もなく、すえた臭いの充満する蒸し風呂のような部屋で、明かりもつけず俺はただ、生きていた。
 そんなある晩、俺は、その声を聞いた。若い男女の声だった。それは、隣の部屋からボソボソと聞こえてくる。だが、その呟くような小さな声、そして部屋の中を動く微かな音に、俺は恐怖した。なぜなら、俺の部屋は角部屋であり、声のする方には、部屋などなかったのだ。
 昼間、寝ている間は気にならないが、夜目覚めて布団の中でぐったりしていると、隣から毎晩声は聞こえてくる。男と女の声。普段は囁き合うように、だが時には喧嘩をしているかのような怒鳴り声になることもあった。そして、明らかに男女の営みを思わせる呻き声も。

 俺は、次第に昼間も眠れなくなった。ある夕暮れ時、窓を少し開けて見た町は、もうオレンジ色から藍の暮色に包まれていた。だが、その夕闇は尋常ではなかった。霧のように押し迫る不思議な闇に溶けている町並み。激しい頭痛のせいで、目までおかしくなったのだろうか。
 そういえば、会社の連中も誰も連絡すら寄越さない。会社を休みはじめたばかりのころは、何度か携帯電話が鳴ったのだが、肝心の携帯が見つからなかった。近くで音はするのに、部屋中どこを探しても見当たらないのだ。探すのを諦めた俺は、公衆電話を見つけて会社に連絡を入れようと思ったが、どうしても会社の電話番号が思い出せなかった。

 何もかもがおかしくなってしまった。後頭部の辺りに突き刺さる痛み。闇に霞んでゆく町、隣から聞こえる声。
 思えば、この町は人の気配がなさ過ぎる。微かにネオンの明かりも見えるが、隣の声を除けば人の声も聞こえない。この1週間、コンビニにも行かず飯も食っていなかった。
 俺を中心に、墨を撒き散らしたかのような闇が徐々に狭まってくる気配に押された俺は、恐怖と不安に襲われ、頭から布団をかぶった。頭が割れるように痛かった。
 隣から声は聞こえてくる。俺は壁に耳を押し付けてみる。明らかに、部屋などないはずの隣から男と女の話し声が聞こえてくる。
 俺はドライバーを手に、壁を掘った。薄い壁紙を破り、ガリガリと削ると、意外にも簡単に穴が空いた。小さな穴から差し込む眩い明かり。このアパートの壁ってこんなに薄かったのか。
 俺は穴から向こうを覗き込んだ。そこには部屋があった。俺が暮らしていた部屋が。そこには女と男がいた。女は俺の恋人。男は、俺の会社の同僚。

 そうかよ。思い出したよ。お前らよくもやってくれたよ。ちくしょう!
 この頭の痛みは……。俺は女を睨みつけた。
 ふと、こっちを見た女と目が合う。女の口から声にならない叫びが漏れる。突然、俺は真っ白な光に包まれて……。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 アパートの外階段の下で、ネクタイを緩めた若い男がポロシャツ姿の年配の男に話しかける。
「単なる色恋沙汰ですよ。他に好きな男ができたらしいです。あの女」
「だからってよ、殺して壁に埋めるか? 普通。しかもそのまま新しい男と暮らしてたって。この暑さじゃ相当臭っただろうに。何考えてるんだかなぁ。なんか喋ったか?」年配の男が言う。
「壁の穴から、自分が殺した男が睨らんでたそうです。死体はドロドロに腐っちまって、一緒に埋めた携帯電話なんか肋骨の隙間から見つかったそうで。目ん玉なんかありゃしませんよ。まあ、良心の呵責に耐えられなかったってことですかね」若い男は、吸っていた煙草を投げ捨てる。
「こら! 煙草を捨てんじゃねぇ」年配の男は、若い男の頭を拳骨で殴りつけた。

(了)


 

映画館と高校生 [2008-08-01 Fri](Writer:上野)
 私が18歳まで暮らした東北の田舎町は、一応、地方都市と呼ばれておりました。昭和40年代、50年代の話ですが、その当時、町には映画館が4館もあったものです。
 駅前のオリオン座。地主町から1本路地に入ったところにある東映、有楽座、文映。
 ちなみに、この路地の入り口にはカウント・ベイシーというジャズ喫茶がありまして、ここは山下洋輔やタモリなんかがお忍びで訪れることもあったりして昔から超有名。どこの町だかバレちゃいますが、まあいいっしょ。
 さて、私は、この路地の突き当たりにある高校に通っていました。つまり、映画館の前の道が通学路になっているわけです。今から考えると、なんとも妙な感じです。
 東映、有楽座、文映、この3つの映画館はロードショー館でありまして、邦画、洋画ともに新しい映画が封切られていました。地方映画館の例に漏れず、必ず2本抱き合わせでしたが(実例:『ロッキー3』と『泣かないで』とか……『ランボー』と『ポーキーズ』とか……どんな組み合わせじゃい!!)。私ら生徒たちは学校帰りに観てたりもしてたんですが、定期的にポルノ映画も上映されるわけです。どでかいエロ看板の横を何食わぬ顔で通り過ぎる高校生たち(もちろん半分は女子高生ww)。
 でもって、学校帰りにデートなんかするにしても、巨大な裸体看板の前を、これまたごくフツーに手ぇつないで歩いてたワケです。
 当時はいわゆるモンスターペアレントなんていなかったんでたいした問題にはならなかったようですが、その大らかさがある意味、私が通っていた高校の伝統を作り上げてしまったのでした。
――○○第一高等学校の生徒はポルノ映画館の横で勉強する――
 しかも、週末こっそりポルノ映画を友達と見にいったら、真後ろに体育の鬼先生が座ってたお! なんてこともありました、マジ。互いに照れ笑いして済みましたが。



 さて、私、実は10年ほどこの町に帰っておりません。最後に訪れた時、残っていたのは東映だけだっけかな? ほかのはマンションになっちゃってました。駅前のオリオン座もなかったような……。地方はどんどん人口が減ってたいへんなようです。

 今では、映画は自宅でのんびり観るって人が多いですね。かつては、テレビでも月曜ロードショー、水曜ロードショー、金曜洋画劇場、日曜ロードショーなどもあってそれはそれで楽しかったものです。レンタルDVDと違い、好きな映画を選べるわけじゃない。新聞のテレビ欄を見て、「今夜あの映画やるじゃん!」って一日中うきうきしてたもんです。で、ロードショーものは基本的に映画館で観る。早く封切りされないかと、クビを長くして待つしかない。見逃したら、いつ放映されるかわからないテレビを待つしかない! そんな映画に対する飢餓感が、今はまったくないように感じます。封切りを見逃しても、すぐDVDになるし。その間は別の映画を借りて見てようっと。
 なんとも淡白な時代になって参りました。
 私も最近はDVDでしか映画を観ておりません。次の休みには、映画館へ行こうと思います。

 

おじさん映画 <第7回> [2008-07-11 Fri](Writer:上野)
 このところ、沈んだ役者の復活話に偏ってきましたが、今回もその流れでジョン・トラボルタとケビン・ベーコンですー。ダンシングおやじですー。
 まずトラボルタですが、言わずと知れた『サタデー・ナイト・フィーバー』で大ブレークしたのが77年。それ以前に、確か『魔鬼雨』(75)っていうホラー映画や、『キャリー』(76)なんつーホラー映画に出てました、ちょい役で。『キャリー』では、怒ると超能力で相手を殺しちゃう女の子にちょっかい出して、車ごと吹っ飛んで死んじゃってたり(笑)。
 『サタデー・ナイト・フィーバー』の続編『ステイン・アライブ』(83)は見事にコケましたが(監督はスタローン! トラボルタもマッチョな筋肉野郎に!! うひゃひゃひゃ!!!)、その間の『グリース』(78)は傑作! 可愛い転校生(オリビア・ニュートンジョン)に惚れちゃったアメリカン不良(501にヘインズにオールスターねwww)のはちゃめちゃミュージカルですが、なんつーか、ハイスクールの甘酸っぱい話ですよ。リアル中坊だった私は、まじでリーゼントに憧れましたね。しませんでしたけど。ニュートンジョンとのデュエットもカッコよす(この時、確かニュートンジョンは30歳越えてたはずなのに、女子高生役に違和感なす。可愛いです、まじで。こえぇー)。
 でもって、その後パタッっと消えました、トラボルタ。赤ちゃん視点で大人たちの右往左往を描いたコメディ『ベイビー・トーク』(89)なんかは面白いし、人のいいブルーカラーお父ちゃん役がいい味出てましたが、赤ちゃんの声を演じたブルース・ウィリスに話題をさらわれちゃいました、残念。この頃からトラボルタ、すんげー太りはじめました。
 なんだかんだと映画に出てたみたいですが、やっぱ『パルプ・フィクション』(94)のキレた殺し屋役が、トラボルタ復活のカギになったようです。それからは主役も張るし、悪役も板についてきましたね。『フェノミナン』(96)では甘ったるいファンタジーに挑んでましたけど。
 オヤジたちがハーレーで旅する『団塊ボーイズ』ってのが一応最新作だと思うんですが、まだ見てないです。DVD出たようなんでさっそく見てみます。評判いいようですぜ。

 さて、永遠のあんちゃんケビン・ベーコン。ツンと上を向いた鼻がキュートです。『フットルース』(84)で一躍スターになりました。都会から田舎町のハイスクールに転校してきた少年が、都会仕込みのダンスでド田舎に旋風を巻き起こすってな話。この頃、MTVっていう番組が大ヒットしてまして、一晩中テレビで洋楽のPVが流れてたもんです。でもって、『フットルース』のテーマや挿入曲っていうのがこれまた当時の人気アーチスト勢揃いってなもんで。ケニー・ロギンス、ボニー・タイラー、カーラ・ボノフ、シャラマーってな感じー。いあー、当時サントラ盤(CDじゃなくてLP!)買ったんですが、どこにいっちゃったかなー? 懐かしすぐる。
 ケビン・ベーコンも、この映画の後はなかなか伸びませんでした。『トレマーズ』(90)とか『フラットライナーズ』(90)みたいな怪獣もの、SFスリラーものなんかでちょくちょく顔は見てましたが。
 この人の場合、『激流』(94)で開眼ですかね。超女優メリル・ストリープと互角に張り合いました。おっかない悪役として。その後は『アポロ13』(95)とか、あー主役やった『インビジブル』(00)なんてのもありました。キモイ悪役でした。いつまでもあんちゃんだと思ってましたが、最近はふけましたね、さすがに。



 そういえば、『フットルース』で人気が出る前は、『13日の金曜日』(80)で、恋人と交接中にベッドの下からジェイソンに串刺しにされるっていう役をやってました。トラボルタも売れる前はホラー。なんか近い匂いを感じます、この2人。
 ぜひ競演を。
 そーいえばそーいえば、『フェノミナン』でトラボルタと共演した女優(名前失念)はケビン・ベーコンのリアル妻だったかも……って思い出せなくて悶々としてる間に、ごめんください。
 

おじさん映画 <第6回> [2008-06-20 Fri](Writer:上野)
 お暑うございます。

 今回お届けしますおじさんは、今やハリウッドのアクションスターとしての確固たる地位を築き上げたジェット・リーであります。
 82年、リー・リンチェイの名で『少林寺』でデビュー。
 カンフーアクションていうのは、大雑把に見るとまず70年代前半にブルース・リーのアチョーブームがありました。ブルース・リャンの『帰ってきたドラゴン』みたいな亜流が続々生まれた時期ですね。あ、このブルース・リャンとか『燃えよドラゴン』でブルース・リーの宿敵ボロを演じたヤン・スェは、当時の人気番組『Gメン75』の香港カラテシリーズにも登場してたりしました。
 そして、70年代後半から雑技団風味のジャッキー・チェンが現われて、酔拳とか蛇拳とかありまして、その流れでユンピョウとかサモ・ハン・キンポーとかも人気が出てきたんですが、ほとんどがコメディだったわけです(厳密にいうと、コメディなのになぜかエンディングは超シリアスだったり、ジャッキー映画は謎映画でした)。ワクワクしながら見てましたが、少々食傷気味でもありました。
 そんな時にやってきたのが『少林寺』。
 予告編を見た時から、「これは本格だな」と思いました、鬼平的に。
 本物の少林拳がどんなかは知りもせず、でも『少林寺』のカンフーアクションはなぜか本格派に見えたものです。そして、主役のリー・リンチェイが、爽やかでカッコよかった。
 ところがこの人、その後は泣かず飛ばず、いや厳密には泣いてたみたいですが、全然飛ばず。消えていったカンフー役者たちの有象無象にまみれて消滅か! と思わせといて、いきなり復活したですよ。しかもハリウッドで。しかも名前がジェット・リー。

 ジェットってなんぞ? ジェット機?

 実際には『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』で復活して、エンタメ業界でプロデューサーなんかやってたらしいですが(90年代前半? この映画はいろいろシリーズがありまして、どれがどれだかわからない悲しさよ。当然見てませんがな)、やっぱり役者としての完全復活は、『リーサル・ウェポン4』(94年)の悪役でしょう。マジでびっくりしました。あの紅顔の美青年がいきなり悪役ですから。
 でも、この選択が正しかったようです。『リーサル・ウェポン4』以後ふたたび少し潜伏期間を経ますが、『ロミオ・マスト・ダイ』(00年)で主役を張ったり『ローグアサシン』(00)では主役のジェイソン・ステイサムと火花を散らす殺し屋をやったり。印象深かったのは『ダニー・ザ・ドッグ』(05年)でしょうか。殺ししかできない男が、モーガン・フリーマン演じる盲目のピアニストの音色に心が洗われていく、悲しい物語でした。バリバリのアクション映画ですけど。



 さて、今年はラスボスを演じた『ハムナプトラ3』、ジャッキー・チェンと競演し、神がかった棒術の師匠を演じる『ドラゴン・キングダム』が公開されるようです。
 主役も悪役も脇役もできる。シリアスなのもコメディもできる。非常に幅広い役者になりました。バリバリのアクション俳優ですけど。
 当年とって45歳。あー、もうそんな年ですか。なかなか顔立ちがよく、キビキビ動ける東洋人なので便利に使われちゃってるのかな、なんて思うこともありますが、これからますます味が出てきそうな予感もします。

 といったところで、本日はごめんください。